湯村温泉病院 公式ブログ

気管支喘息 甲府 湯村温泉病院

 [ 呼吸器科 ]

院長の高橋です。

気管支喘息を特徴づけるkeyword3 「気道炎症」

まず炎症とはなんでしょう。

炎症というのは組織の一部が損傷したり、病原体による感染を受けたりしたときの、一連の生態防御反応です。わかりやすいのは、打撲をしたときに腫れ上がって熱をもったりすることです。炎症をおこしている場所では、異物を排除したり、組織を修復するためにいろいろな細胞が活動します。

炎症といっても、状況によってさまざまな形態をとるのですが、気管支喘息の場合好酸球、Tリンパ球、マスト細胞、といった細胞が主体として活動します。
なかでも好酸球は古くから喘息における気道炎症の中心と考えられてきました。

好酸球とは白血球の一種で、通常の血液検査(末梢血検査)においても白血球の3%程度は好酸球です。寄生虫などに対する生体防御機能を担っていると考えられていますが、アレルギー性疾患において抹消血中の好酸球の割合が増えることが知られています。

気管支喘息もアレルギーが病態に強く関与しており、(アレルギーと喘息については、また別の機会に詳述する予定です)、気道に多数の好酸球をみとめるため、喀痰中の好酸球数を数えることが喘息診断に役立つことがわかっています。

学術論文等では、喀痰を採取し、顕微鏡で痰中の炎症細胞を200個数え、3%以上が好酸球であれば好酸球増多とされています。

しかしながら、喀痰好酸球のカウントは、労力がかかり医療保険でみとめられている検査ではないため、ごく一部の医療機関で研究を兼ねて行っているだけ、というのが実情です。